ノイズの多いAIの世界から、未来を読み解くための本質的な「シグナル」をあなたに。
ロジです。
2025年11月、教育の現場から見過ごせない数字が届きました。
株式会社ベネッセコーポレーションの最新調査。このデータが示しているのは、これからの予想ではなく、もう戻ることのない現実です。
わずか2年前、まだ半数以下だった小学生の生成AI認知率は、今や74.7%に達しました。クラスの4人に3人がAIを知り、その多くがすでに何らかの形で利用しています。
これは、かつてスマートフォンが普及した時以上のスピードです。
しかし、私がこのデータを見て一番怖さを感じたのは、AIが広まっていることそのものではありません。
新しい技術が当たり前になっていく一方で、家庭内での「会話」や「ルール作り」が完全に置いてきぼりにされている事実です。
この記事は、次のような方へ向けて書きました。
- AIを使う我が子を見て、なんとなく不安を感じている保護者の方
- 学校で、AIの使い方をどう教えるか迷っている先生方
- 新しい技術と子供の成長に関心のある方
この調査結果をじっくり読み解くと、私たちが家庭ですぐに取り組むべきことが見えてきます。
親の目が届かない「見えない利用」

数字の変化を見てみましょう。
2023年に47.8%だった認知率は、2025年には一気に増えました。これほど短い期間で小学生の意識が大きく変わることは、めったにありません。
さらに重要なのは、AIを知っている子供の8割以上が、実際に使ったことがあるという点です。
親のスマートフォンやパソコンを使うケースが一番多いですが、自分の端末を使っている子供も約4割います。
親の知らないところで
ここで気になるデータがあります。保護者が子供の代わりに検索・操作する割合は2割以下でした。
逆に言えば、大半の子供は親のスマホを借りて、あるいは自分の端末で、直接AIと向き合っているということです。
検索サイトであれば、言葉を入力して終わりでした。
しかし生成AIは、会話を返してきます。
親が見ていないところで、AIがどんな答えを出し、子供がそれをどう受け止めているか。中身が見えにくくなっているのが現状です。
親たちが抱える「複雑な気持ち」

今回の調査では、お父さんやお母さんの迷いも見えてきました。
AIを使うことについて、6割以上の人が「情報を見つける力がついた」「考える力が育っている」といった良い影響を感じています。
その一方で、約半数の人が「自分で考える機会が減った」という悪い面も心配しています。
この反対に見える評価は、矛盾ではありません。生成AIの良いところと悪いところを、正直に感じ取っている証拠です。
AIを使えば、確かにすぐに答えがわかり、知識は増えるでしょう。
しかし、答えにたどり着くまでの「悩みながら考える時間」がなくなってしまう心配は消えません。
「考える」の意味が変わる
子供たちの半数以上が「わからないことがあったときはまず生成AIに聞く」と答えています。
すぐに解決できる便利さは魅力です。
ですが、私たちが大切にしてきた「考える力」の多くは、わからない状態でも諦めず、ああでもないこうでもないと考える中で育つものでした。
そのプロセスをAIに任せたとき、子供たちの頭の中で何が起きているのか。私たちはまだその答えを持っていません。
【ロジの視点】

研究者として論文を書くとき、私もAIをよく使います。壁打ち相手として優秀だからです。でも、疲れている時などは、AIが出した「もっともらしい文章」を、よく確かめずに使いたくなってしまいます。大人でさえ、自分を律するのは難しいものです。成長の途中にある子供たちが、楽な答えに頼らず、AIと上手に付き合うのは、想像以上に難しいことだと言わざるを得ません。
信じる気持ちと疑う気持ちの間にいる子供たち
子供たちは、AIをどう見ているのでしょうか。
約半数の子が、生成AIと話すと「楽しい」「安心する」と感じています。
この「安心する」という答えは重要です。彼らにとってAIは、単なる道具ではなく、優しく話を聞いてくれる相手になりつつあります。
一方で、約6割の子供が「答えが間違っていると思ったことがある」とも言っています。
彼らはAIを信じ切っているわけではありません。
親しみを感じつつも、どこか信用しきれない。
この絶妙な距離感を持っている今こそ、大人が関わるべきタイミングです。
進まない家庭での会話
一番の問題はここです。
AIを使うのが当たり前になっているのに、「使い方のルール決めや会話」をしている家庭は約5割。2年前からほとんど増えていません。
なぜ会話が進まないのか。
親自身が、AIの良い点と悪い点を、はっきり言葉にできていないからではないでしょうか。
調査結果によると、「個人情報を入力しない」というルールは、子供も大人もよく守っています。
しかし、それは「やってはいけないこと」の一つに過ぎません。
本当に必要な会話とは、禁止することではなく、「AIが出した答えをどう確かめるか」「AIの答えより自分の考えが良いところはどこか」という、中身についての話し合いです。
KEY SIGNAL:
大切なのは、個人情報などの守りのルールだけではありません。AIが出した「もっともらしい答え」に対して、「本当にそうかな?」と自分の頭で考えられるかどうか。その心の体力を育てることが重要です。
まとめ:考えるきっかけを作る
2025年、AIはもう特別なものではありません。水道や電気と同じ、生活の一部です。
この記事のポイントをおさらいしましょう。
- 急速な広がり: 小学生の4人に3人がAIを知り、使うのが普通になりました。
- 見えにくい中身: 親が関わらない利用が増えていて、何をしているか分かりにくくなっています。
- 親の迷い: 便利さと、頼りすぎることへの心配の間で、親の気持ちは揺れています。
- 会話不足: 利用は増えているのに、家庭での話し合いが追いついていません。
親ができる一番のことは、子供がAIを使って作ったものや調べたことに対して、質問を投げかけることです。
「なぜAIはそう言ったと思う?」「あなたなら別の答えを出せる?」
その一言が、子供が自分で考えるきっかけになります。
以上、最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。
当メディア「AI Signal Japan」では、
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運営者は、ロジ。博士号(Ph.D.)を取得後も、知的好奇心からデータ分析や統計の世界を探求しています。
アカデミックな視点から、表面的なニュースだけでは分からないAIの「本質」を、ロジカルに紐解いていきます。


